【デメリットもある?】海外進出に使える補助金・助成金を活用するメリット・デメリットを解説
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しかし、その一方で後払い形式での資金調達や複雑な申請手続き、厳しい審査などのデメリットも存在するのが事実。
本記事では、補助金と助成金の違いをはじめ、具体的なメリット・デメリットを詳しく解説します。続きを読んで、支援制度を上手に活用するためのヒントを見つけてみてください。
補助金と助成金の違いは?
海外進出を推進する団体は国内にもいくつかあり、団体からの支援をもらうことで中小企業が海外進出に成功する事例は多々あります。
支援には「補助金」や「助成金」などの形式がありますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。どちらも事業を海外進出する際に利用できる重要な資金援助の手段ですが、その違いを解説します。
結論からお伝えすると、助成金は申請に必要な要件を満たすことで受給できる可能性が高いのに対して、補助金の場合は公募によるものが多いため、要件を満たしていても他社との競争に勝てなければ審査に通らない仕組みとなっています。
補助金 | 助成金 | |
受給の難易度 | 難しい | 易しい |
申請期間 | 短い | 長い |
支給タイミング | 後払い形式 | 後払い形式 |
海外進出する際に補助金・助成金を活用する3つのメリット
次に、海外進出する際に補助金・助成金を活用するメリットについて解説します。これらの支援を受けることは単に「使える資金が増える」というメリットだけではありません。支援金を受けるメリットはその他の部分にも現れているので、ぜひ最後までご覧ください。
- 原則、返済する必要がない
- 支援元の知見やノウハウを共有してもらえる
- 事業の信頼性が向上する
ひとつずつ見ていきましょう。
メリット①:原則、返済する必要がない
補助金や助成金を受ける最大のメリットは、原則として返済が不要である点です。
これは、企業が将来の返済負担を考慮せずに資金を活用できることを意味します。従来までの銀行などから融資を受ける場合、利息や返済計画を立てる必要があるため、返済することを考えながら資金繰りをする必要がありました。
しかし、補助金や助成金ではこのような負担がないため、企業は資金を事業の成長や拡大に集中して投資できます。
メリット②:支援元の知見やノウハウを共有してもらえる
補助金や助成金を提供する組織から資金を提供してもらう中で、海外進出に関する他の企業の情報や知見・ノウハウを共有してもらえるのもメリットのひとつです。支援元にとっても支援金を提供した会社には海外進出で成果を出して欲しいため、情報共有を惜しみません。
実際、これまで数多くの企業の海外進出をサポートしてきているため、実践的な情報を提供してもらえるでしょう。企業は資金だけでなく情報の面でもサポートしてもらえるため、効果的に海外市場に参入し、事業成功の確率を高められます。
メリット③:事業の信頼性が向上する
補助金や助成金を受けることは、企業の信頼性を向上させる重要な要素となります。なぜなら、公的な機関からの支援を受けていることが、企業の健全性や将来性を示す証拠となるからです。
特に海外市場へ新規で参入すると、新たなビジネスパートナーを構築することが不可欠です。
その際、「〇〇に支援されている企業」と説明できると、第三者からの信頼を簡単に得られます。公的機関からの支援を受けていることをアピールすることで、海外の企業相手にもプラスの印象を与えられるでしょう。また、補助金や助成金の受給実績は、将来的な追加の資金調達や他の支援プログラムへの応募においても有利に働くことがあります。
以上が、海外進出する際に補助金・助成金を活用する3つのメリットでした。
海外進出する際に補助金・助成金を活用する3つのデメリット
最後に、海外進出する際に補助金などの支援を受けるデメリットについても解説します。ここまで良い面ばかりを紹介してきましたが、残念ながらデメリットもいくつかあります。
メリット・デメリットの両面をしっかり理解したうえで、利用するかどうかを検討してみてください。
- 後払い形式で、報告義務がある
- 手続きが煩雑
- 審査が厳しい
ひとつずつ見ていきましょう。
デメリット①:後払い形式で、報告義務がある
補助金や助成金はほとんどの場合、後払い形式が採用されています。つまり、企業がまず自社で必要な経費を支払い、その後に補助金を申請し、審査を経て受給するという流れです。
このため、企業は一時的に資金を立て替える必要があり、キャッシュフローに影響を与える可能性があります。最初に一括で大きな資金が得られるわけではないため、キャッシュフローが良くなるといったメリットはないことを覚えておきましょう。
また、受給のためには使用した経費の詳細な報告が求められます。具体的には、領収書や契約書などの証拠書類の提出が必要であり、これに伴う事務作業が増えることもデメリットのひとつです。
これらの報告義務を怠ると、補助金の受給が遅れる、あるいは受給できない事も考えられるため、気をつけましょう。
デメリット②:手続きが煩雑
補助金や助成金を受けるための手続きは非常に煩雑であり、多くの書類を準備しなければなりません。申請書類には、詳細な事業計画書、予算書、経費の見積もり、過去の業績などが含まれます。
これらの書類を整えるためには、専門的な知識や経験が必要で、場合によっては外部のコンサルタントを雇う企業も少なくありません。また、申請期間が限られている場合が多く、短期間で大量の書類を準備することが求められるため、企業のリソースに大きな負担がかかります。
デメリット③:比較的審査が厳しい
補助金や助成金の申請は、厳しい審査を通過しなければなりません。審査基準は厳格であり、申請内容が基準を満たしていない場合や、他の申請者と比較して優位性がない場合には、受給が難しくなります。
助成金であれば要件を満たしているだけで、審査を通過する可能性がありますが、補助金の場合は支援を受けられる金額・企業の数の枠が事前に決められているため、選ばれる確率は自ずと低くなります。
また、審査には時間がかかることが多く、結果が出るまでに数か月を要することもあります。このため、審査結果が出るまでの間、企業は不確実な状況に置かれ、計画の見直しや資金繰りの調整が必要になることもあるでしょう。
補助金や助成金は、資金面での大きな助けとなる一方で、これらのデメリットがあることを忘れてはいけません。自社リソースを考慮して、支援を受けるメリットのほうが大きいかを検討しましょう。
まとめ
今回は、海外進出をする企業が受けられる補助金・助成金について解説しました。
支援制度は資金が増えるだけでなく、海外進出に関するノウハウを共有してもらえたり、事業の信頼性が上がるなどのメリットもあります。
しかし、申請手続きの煩雑さによる作業量の増加などのデメリットもあることがわかりました。両者を天秤にかけて、補助金・助成金を受け取るかどうか決めましょう。
監修者
岩﨑 正隆 / 代表取締役
福岡県出身。九州大学大学院卒業後、兼松株式会社にて米国間の輸出入業務や新規事業の立ち上げ、シカゴでの米国事業のマネジメントに従事。帰国後はスタートアップ企業にて海外事業の立ち上げを経験。自らのスキル・経験を基により多くの企業の海外進出を支援するために、2023年に株式会社グロスペリティを設立。