アメリカ化粧品市場の最新トレンド|注目のJ-Beauty

INDEX ー
「今、アメリカでは何が売れているのか?」「K-Beautyの次は何が来るのか?」
「FDAやMoCRA対応はどこまで必要なのか?」
本記事では、こうした疑問に対し、アメリカ化粧品市場のトレンド・法規制・注目ブランド・J-Beautyの可能性を整理し、最後に弊社が提供できる具体的な支援内容をご紹介します。
アメリカ化粧品市場の全体トレンド
市場全体の傾向
アメリカの化粧品市場では、単なる「流行」ではなく、消費者意識そのものの変化がトレンドを形成しています。特に以下のキーワードが市場全体を通じて強まっています。
- クリーンビューティー
クリーンビューティーは、単に「自然派」「オーガニック」を意味するものではなく、安全性・透明性・倫理性を含めた総合的な考え方として定着しています。
- サステナビリティ
環境配慮は、もはや付加価値ではなく前提条件になりつつあります。
- スキンケア重視(メイクより素肌)
メイクアップ中心だった市場は、近年スキンケア主導型へとシフトしています。
- 成分透明性・エビデンス重視
アメリカの消費者は、「何が入っているか」「なぜその成分なのか」を自ら調べ、比較する傾向が強まっています。
今後伸びると予想される分野
こうした市場背景を踏まえ、以下の領域は今後特に成長が期待されています。
- 敏感肌・皮膚科学ベースのスキンケア
アレルギーや肌トラブルへの関心が高まる中、低刺激・皮膚科学的根拠を持つ製品への需要が拡大しています。
- アンチエイジング・ウェルエイジング
「若返る」ではなく、年齢と上手に向き合う(ウェルエイジング)という考え方が広がっています。
- 男性向けスキンケア
男性のスキンケア市場も着実に拡大しています。
- インナー×アウタービューティー
外側からのケアだけでなく、内側からのアプローチ(サプリ・栄養)との組み合わせも注目されています。
PR・マーケティングのトレンド
アメリカの化粧品市場では、商品力に加え、「誰が、どのように伝えるか」が購買行動に大きく影響するようになっています。
有名インフルエンサーや大規模広告による一方的な訴求は効果が薄れ、現在は、消費者が自ら情報を調べ、納得して購入する流れが主流です。
そのためPR・マーケティングにおいては、派手さよりも、共感や信頼を通じて実態が伝わる手法が重視されるようになっています。
その代表的なトレンドが、以下の取り組みです。
- フォロワー数より信頼性を重視したマイクロ・ナノインフルエンサー
- TikTok・Instagram Reelsを活用した短尺動画
- Before / After や成分解説などの「理解を促すコンテンツ」
- 医師・専門家監修による信頼性の担保
派手な広告よりも、「納得感」「信頼」「ストーリー」が重要視されています。
FDA・MoCRAによる化粧品規制の最新動向
アメリカの化粧品市場において、トレンドやマーケティングと同じくらい重要なのが法規制への対応です。
特に近年は、規制環境が大きく変化しており、日本企業にとって注意すべきポイントが増えています。
FDAによる従来の化粧品規制
アメリカでは、化粧品は FDA(米国食品医薬品局) の管轄下にあります。
医薬品ほど事前承認は厳しくありませんが、「販売後の責任」が重く問われるのが特徴です。
従来から求められている主なポイントは以下の通りです。
成分表示(INCI名)の正確な記載
成分は国際的に定められたINCI名で表示する必要があり、誤記や省略はリスクとなります。
- 表示内容・訴求表現の正確性
効果・効能について、科学的根拠のない表現や誤解を招く表現は認められていません。 - 虚偽・誇大広告の禁止
「シワが消える」「治療できる」といった医薬品的表現は、化粧品では使用不可とされています。
つまり、FDAの規制は「自由に売れる」一方で、問題が起きた際には企業責任が直接問われる仕組みとなっています。
MoCRA(化粧品規制強化法)の影響
こうした従来の規制に加え、近年特に重要視されているのがMoCRA(Modernization of Cosmetics Regulation Act:化粧品規制強化法) です。
MoCRAは、アメリカにおける化粧品規制を約80年ぶりに大幅改正した法律で、「事後対応型」だった規制を、より管理・監督型へと引き上げた点が大きな特徴です。
具体的には、以下のような義務が新たに課されています。
- 製造・加工施設の登録義務
化粧品を製造・加工する施設は、FDAへの登録が必要となりました。 - 製品登録の義務化
アメリカで販売する化粧品製品ごとに、情報をFDAへ登録する必要があります。 - 有害事象(副作用等)の報告義務
消費者から健康被害などの報告があった場合、一定期間内にFDAへ報告しなければなりません。 - 安全性評価の文書化
製品が安全であることを示す根拠を、文書として保持・管理することが求められます。 - ラベル表示のさらなる厳格化
連絡先表示や警告文など、消費者保護を目的とした表示要件が強化されています。
日本企業にとっての注意点
MoCRAの施行により、「今までは問題なく売れていた」方法が通用しなくなるケースも増えています。
特に、
- 規制情報を日本語だけで把握している
- 海外向け表示・書類を後回しにしている
- マーケティング表現と規制チェックが分断されている
といった状態は、リスクにつながりやすくなっています。
MoCRAは、「知らなかった」「対応が遅れた」では済まされない規制です。
アメリカ市場で長期的にビジネスを行うためには、早い段階からの理解と準備が不可欠と言えるでしょう。
特に話題となったアメリカの化粧品ブランド
アメリカの化粧品市場では、単に売上規模が大きいブランドだけでなく、価値観やメッセージ性を通じて消費者の共感を得たブランドが強い存在感を示しています。
近年話題となったブランドには、
・多様性や自己肯定感といった社会的テーマを取り入れている
・成分や価格の透明性を重視している
・SNSや口コミを通じて自然に支持を広げている
といった共通点があります。
ここでは、こうした特徴を持ち、アメリカ市場のトレンドを象徴する代表的な化粧品ブランドをいくつか紹介します。
① Fenty Beauty
Fenty Beautyは、多様な肌色に対応した商品展開を通じて「美の多様性」を体現し、アメリカ化粧品市場に新たな基準を示したブランドです。
- 多様性(Diversity)を明確なブランドメッセージとして発信
- 圧倒的な肌色バリエーションによる顧客満足度の高さ
- 社会的メッセージと高い商品力を両立している
② The Ordinary
The Ordinaryは、成分と価格の透明性を重視したアプローチで、「成分で選ぶスキンケア」という消費者意識をアメリカ市場に定着させました。
- 成分と価格の透明性を重視した明確なブランドポジション
- 有効成分をシンプルに訴求し、「成分で選ぶスキンケア」を浸透
- 高品質×手に取りやすい価格を両立させている
③ Rare Beauty
Rare Beautyは、メンタルヘルスへの配慮や共感を軸としたブランドメッセージにより、若年層を中心に支持を広げている化粧品ブランドです。
- 共感や自己肯定感を軸にしたブランドメッセージを発信
- 使いやすさや自然な仕上がりを重視した商品設計
- 価値観訴求と商品力を組み合わせたブランド構築
J-Beautyの動向とK-Beautyからの影響
K-Beautyがアメリカ市場で成功した理由
アメリカの化粧品市場において、K-Beauty(韓国コスメ)は一時的なブームではなく、市場構造そのものに影響を与える存在となりました。その成功の背景には、以下要因があります。
- スキンケア重視の思想
メイクで隠すのではなく、素肌そのものを整えるという考え方が、スキンケア志向の高まりと合致した。 - トレンドのスピード感
成分・処方・パッケージのトレンドを素早く商品化し、消費者の関心を継続的に刺激した。 - SNS映えを意識した商品設計
カラフルなパッケージやテクスチャー、使用シーンが想像しやすいビジュアル設計により、TikTokやInstagramで拡散されやすい点。
これらの要素により、K-Beautyは若年層を中心に強いブランド認知を獲得しました。
K-Beautyの次として注目されるJ-Beauty
このK-Beautyの成功を土台として、現在アメリカ市場ではJ-Beauty(日本の化粧品)への関心が徐々に高まりつつあります。
J-Beautyは、K-Beautyとは異なる以下のような価値軸で評価され始めています。
- 長年培われた日本ならではの研究開発力・技術力
- 敏感肌にも配慮した低刺激・高品質処方
- 一過性ではない長く使える信頼性
派手さや話題性ではなく、「なぜこの商品なのか」「なぜこの成分なのか」といった背景を重視する消費者層に、J-Beautyはフィットしやすい特徴を持っています。
今後のJ-Beautyに求められる視点
K-Beautyがアメリカ市場で一定の地位を確立した今、J-Beautyは「次に来る存在」として注目され始めています。
しかし、単に日本製であることや品質の高さを打ち出すだけでは、競争の激しいアメリカ市場で継続的な存在感を示すことは難しくなっています。
前述した通りアメリカの消費者は、商品の背景にある、考え方やストーリーを重視する傾向が強く、「なぜこのブランドなのか」「なぜこの商品を選ぶべきなのか」を明確に説明できるかどうかが、選択の分かれ目となります。
そのため、J-Beautyには従来の強みである品質や技術力に加え、市場に合わせた伝え方・見せ方の進化が求められており、アメリカでJ-Beautyが存在感を高めていくためには、以下の視点が重要になります。
- K-Beauty的なSNS活用・情報発信力
- J-Beauty本来の技術力・品質訴求
- 成分・エビデンスの明確な説明
これらを個別にではなく、バランスよく両立させることが重要となります。
K-Beautyの成功モデルを参考にしつつ、「日本らしさ=誠実さ・信頼性」をいかにアメリカ市場向けに翻訳し、伝えていくかが、今後のJ-Beautyの成長を左右する鍵となるでしょう。
アメリカ化粧品市場進出を成功させるためにグロスペリティができること
アメリカ化粧品市場では、「良い商品がある」だけでは成果につながりにくく、販路開拓・マーケティング・法規制対応を同時に進める体制が求められます。
グロスペリティでは、日本企業が直面しやすいこれらの課題に対し、実務レベルまで踏み込んだ支援を行っています。
アメリカ向け営業代行・販路開拓
アメリカ市場では、現地ネットワークや商習慣への理解が不足していると、商談の機会そのものを作ることが難しいケースが少なくありません。
グロスペリティでは、
- アメリカ現地のバイヤー・代理店・流通パートナーの開拓
- 商品特性や価格帯に合わせた販路戦略の設計
- 商談のアレンジから、条件調整・交渉までの営業実務支援
- 展示会・商談会への出展サポートおよび事後フォロー
などを通じて、実際に売るための営業活動を支援します。
「どこに、どう売るか分からない」という初期段階からでも対応可能です。
Webマーケティング・PR支援
アメリカ市場では、商品の魅力を英語で、かつ現地の価値観に合わせて伝えることが非常に重要です。
グロスペリティでは、
- アメリカ市場向けに最適化した英語Webサイト・LPの企画・制作
- SNS(Instagram・TikTok 等)を活用した情報発信・運用支援
- マイクロ・ナノインフルエンサーを活用したPR施策
- 競合や市場トレンドを踏まえたブランドストーリー設計
を通じて、「知られる」「理解される」「選ばれる」状態を作る支援を行います。
単なる翻訳ではなく、マーケット目線での表現設計が強みです。
FDA・MoCRA対応支援
アメリカ市場進出において、多くの日本企業が不安を感じるのがFDA・MoCRAへの対応です。
グロスペリティでは、
- FDA・MoCRA全体のコンサルティング
- 成分・表示内容の事前チェック
- 製品登録・施設登録などの実務サポート(米国エージェントの設定含む)
- マーケティング表現と規制要件の整合性確認
など、「売る前に止まらない」「売った後も問題が起きにくい」体制構築をサポートします。
規制対応だけが独立せず、営業・マーケティングと連動した支援が可能な点が特徴です。
アメリカ化粧品市場では、準備不足による規制トラブルや、販路・訴求のミスマッチによって事業が途中で止まってしまうケースも少なくありません。
グロスペリティは、営業・マーケティング・規制対応を一気通貫で支援することで、日本企業のアメリカ市場進出を実務レベルから支えます。
まとめ
アメリカの化粧品市場は、世界最大級の市場規模を誇り、ブランドにとって大きな成長機会がある一方で、決して簡単な市場ではありません。
- 市場規模が大きく、ヒットすればリターンも大きい
- グローバルブランドや新興D2Cがひしめく、競争の激しい環境
- FDAやMoCRAをはじめとする、年々厳格化する法規制
こうした特徴から、「良い商品を作れば売れる」時代はすでに終わりつつあります。
アメリカ市場で成功するためには、今何が求められているのかというトレンド理解、事業リスクを回避するための確実な規制対応、そして市場に価値を正しく伝えるマーケティング戦略を、個別ではなく一気通貫で設計・実行することが不可欠です。
特に日本の化粧品ブランドにとっては、高い品質や技術力という強みを、アメリカ市場の文脈に合わせて「どう伝えるか」が成否を分けます。
事前準備の質が、そのまま成果につながる。それが、アメリカ化粧品市場の最大の特徴と言えるでしょう。
監修者
岩﨑 正隆 / 代表取締役
福岡県出身。九州大学大学院卒業後、兼松株式会社にて米国間の輸出入業務や新規事業の立ち上げ、シカゴでの米国事業のマネジメントに従事。帰国後はスタートアップ企業にて海外事業の立ち上げを経験。自らのスキル・経験を基により多くの企業の海外進出を支援するために、2023年に株式会社グロスペリティを設立。

