海外進出するメリット・デメリットとは?事前に行うべき準備についても徹底解説!
- 「海外進出のメリットやデメリットについて知りたい」
- 「海外進出をするために必要な準備について知りたい」
この記事を読んでいる方の多くはこのように思われているのではないでしょうか?
グローバル化がいっそう進み、海外進出をしている企業は決して珍しくありません。
しかし、やはりまだまだ海外進出はハードルが高いと思われている方も多いはずです。
この記事では海外進出のメリットやデメリット、海外進出に必要な準備について説明をします。わかりやすく説明をしますので、ぜひ参考にしてください。
海外進出をするメリットは5つ!
日本企業が海外進出をするメリットはたくさんありますが、主なメリットは5つです。
- 販路の拡大ができる
- 販売単価が上がる
- コストを安くできる
- 節税できる
- 様々な企業とつながりを持てる
海外進出をするメリットについて、解説をしますので参考にしてください。
販路の拡大ができる
海外進出をすることによって、販路の拡大が期待できます。
日本の人口は約1億人ですが、中国やインドの人口は10億人を超えています。また成長著しい東南アジアの人口増加も目覚ましいです。
2023年時点の世界の人口トップ10をまとめました。
1位 | インド | 14億2,860万人 |
2位 | 中国 | 14億2,570万人 |
3位 | アメリカ | 3億4,000万人 |
4位 | インドネシア | 2億7,750万人 |
5位 | パキスタン | 2億4,050万人 |
6位 | ナイジェリア | 2億2,380万人 |
7位 | ブラジル | 2億1,640万人 |
8位 | バングラデシュ | 1億7,300万人 |
9位 | ロシア | 1億4,440万人 |
10位 | メキシコ | 1億2,850万人 |
人口が多いとそれだけ販路の拡大が期待できるため、海外進出をするメリットは大きいでしょう。
販売単価が上がる
日本は「失われた30年」を経験し、30年間ほとんど物価は上がりませんでした。しかし、世界は違います。よく物価を調べるのに利用されているビッグマック指数は、以下の通りです。
順位 | 国・地域名 | ビッグマック指数(%) | 価格
(USドル) |
価格
(円) |
1 | スイス | 43.5 | 8.17 | 1207 |
2 | ノルウェー | 25.5 | 7.14 | 1056 |
3 | ウルグアイ | 23.7 | 7.04 | 1041 |
4 | ユーロ圏 | 3.1 | 5.87 | 867 |
5 | スウェーデン | 3.1 | 5.87 | 867 |
6 | コスタリカ | 0.39 | 5.71 | 845 |
7 | イギリス | 0.36 | 5.71 | 844 |
8 | デンマーク | 0.03 | 5.69 | 842 |
9 | アメリカ | 0 | 5.69 | 841 |
10 | スリランカ | -0.03 | 5.69 | 841 |
11 | カナダ | -2.4 | 5.55 | 821 |
12 | メキシコ | -8.7 | 5.19 | 768 |
13 | コロンビア | -10.6 | 5.09 | 752 |
14 | オーストラリア | -10.8 | 5.08 | 750 |
15 | サウジアラビア | -11 | 5.06 | 749 |
16 | ニュージーランド | -12 | 5.01 | 740 |
17 | ポーランド | -12.7 | 4.97 | 734 |
18 | シンガポール | -12.9 | 4.96 | 733 |
19 | ベネズエラ | -13.3 | 4.93 | 729 |
20 | アラブ首長国連邦 | -13.9 | 4.9 | 724 |
43 | 中国 | -39 | 3.47 | 513 |
45 | 日本 | -46.5 | 3.04 | 450 |
このように、日本に比べ物価が上昇している国は多いので、販売単価の引き上げが期待できるでしょう。
コストを抑えることができる
日本は物価がここ30年間ほとんど上昇しませんでした。それでも東南アジアなどに比べると、まだまだ物価や賃金は高いです。海外進出をすることにより、良質な労働力を安く利用できる可能性があるのも、海外進出をする大きなメリットでしょう。
節税できる
日本の法人税率は大体30%前後ですが、世界で見ると、日本の法人税は高いです。
海外進出をすることにより、節税につながる可能性があるのも大きなメリットになるでしょう。
様々な企業とつながりを持てる
海外進出をすることにより、様々な企業とつながりが持てる可能性があります。
商工会議所などでも海外進出の支援は行っており、親睦会などが開かれるケースも多いです。海外進出をきっかけに、様々な企業とつながりを持てるのは、業務拡大などの今後の展開にとっても大きなメリットになるでしょう。
海外進出をするデメリットは4つ!
海外進出をするメリットはたくさんありますが、デメリットもあります。
- 日本と商習慣が違う可能性がある
- 為替リスクや人件費高騰でコストが高くなる可能性がある
- 人材の管理や採用が難しい可能性がある
- 地政学リスクが高い可能性がある
海外進出をする際のデメリットについてわかりやすく説明をします。
日本と商習慣が違う可能性がある
日本と商習慣が違う国はたくさんあります。日本では当たり前のことも海外では当たり前ではありません。
海外でビジネスを展開する際は、その国の習慣に合わせる必要があります。習慣の違いは意外と大きなデメリットになりますので、事前にしっかりと調べてから海外進出を検討するようにしましょう。
為替リスクや人件費高騰でコストが高くなる可能性がある
2020年から為替レートは大きく円安傾向にあります。2020年からのドル円の為替チャートは以下の通りです。
このように、大きな円安傾向が続いているため、以前に比べてコストが高くなってしまいます。
なぜなら、例えば10ドルの材料があるとすると、1ドル100円の時は1000円で済みましたが、現在は150円以上かかってしまうからです。
また為替レートだけではなく、多くの国の人件費は高騰していますので、こちらもデメリットになってしまうでしょう。
人材の管理や採用が難しい可能性がある
海外でビジネスを行う際、人材の管理や採用は非常に大きな問題です。日本人とは生まれた環境が全く異なるため、日本で当たり前のように行っていた人材管理や採用が難しい可能性があります。
国によって人の管理や採用の難しさは大きく異なりますので、事前にしっかりと調べてから海外進出を検討するようにしましょう。
地政学リスクが高い可能性がある
こちらは海外進出する国にもよりますが、地政学リスクが高い可能性があります。北朝鮮やロシア、ウクライナなどは当然、地政学リスクが高いですが、その他の国でも多くの問題を抱えている可能性があります。
戦争などの地政学リスクが日本と比べ桁違いに高い可能性があるのも、海外進出をする際の注意点です。
海外進出を行う際は、十分な準備をする必要がある!
海外進出を行う際は、事前にしっかりとした準備を行う必要があります。必ず行うべき準備は5つです。
- 同業他社が海外進出をしている場合、どのような状況になっているかよく調べる
- 海外進出をしようとしている国の商習慣や税制をよく調べる
- 地政学リスクについてよく調べる
- 利用できる補助金がないかよく調べる
- その国独特の文化や宗教についてよく調べる
海外進出をする際に、行うべき準備について説明をします。
同業他社が海外進出をしている場合、どのような状況になっているか調べる
同業他社が海外進出をしている場合、現在どのような状況になっているのか調べるようにしてください。
できれば、自社と同じ位の規模の企業を参考にするのが良いでしょう。なぜなら、自社とあまりにも規模が違う会社だと、海外進出に投下できる資金が全く異なり、あまり参考にならない可能性があるからです。
海外進出をしようとしている国の商習慣や税制を調べる
海外進出を検討している国の商習慣や税制については、事前にしっかりと調べるようにしてください。特に日本企業が少ない国に進出しようとしている場合は、念入りに調査をするのが良いでしょう。
ただしなかなか自社だけで精度の高い調査をするのが難しいケースもあるはずです。
そのような際は専門の業者に依頼するのがおすすめです。
地政学リスクについて調べる
地政学リスクについても調べるようにしてください。まずは外務省のホームページで確認するのが良いでしょう。
そして、取引銀行に確認するのも良い方法です。
銀行には様々な情報が集まっているため、リアルな地政学リスクについて教えてくれるはずです。
ただし、信用金庫や地方銀行だとあまり海外の情報が入ってこない可能性があるので、できればメガバンクの方が良いです。
利用できる補助金がないかよく調べる
海外進出を行う際は、様々な補助金を利用できる可能性があります。補助金は原則返済する必要がないので、ぜひ有効活用してください。主な補助金についてまとめておきました。
名称 | 内容 | 補助金額 |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 | 中小企業庁などが行っている中小企業等による生産性向上に資する
革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金 |
100万円から3000万円 |
外国出願補助金 | 特許庁などが行っている中小企業の戦略的な外国出願を促進するため、
外国への事業展開等を計画している中小企業等に対して、 外国出願にかかる費用の半額を助成外国出願補助金外国出願補助金 |
上限300万円 |
普及・実証・ビジネス化事業 | JICAが行っている途上国の課題解決に貢献し得るビジネスの事業化に向けて、
技術・製品・ノウハウ等の実証活動を含むビジネスモデルの検証、 提案製品等への理解の促進、ODA事業での活用可能性の検討等を通じた事業計画案の策定を支援 |
最大1億円 |
利用できそうな補助金があれば、ぜひ検討してみてください。他にもたくさんの補助金があります。
その国独特の文化や宗教についてよく調べる
海外進出をしようと思っている国の独特の文化や宗教についてはよく調べるようにした方が良いでしょう。もし、自社の従業員の中に海外進出をしようと思っている国から来た人がいれば、ぜひ話を聞いてみるのも良いかもしれません。
海外進出する際におすすめの国
海外進出をするおすすめの国は、企業ごとに異なりますが、現地市場規模や販売単価の高いアメリカ(北米)市場や、日本から地理的に近く現地生産コストが低い東南アジアなどが良いでしょう。
人口の多い中国やインドを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、中国やインドについては文化や商習慣が日本とは大きく異なり、地政学リスクも高いので、より進出難易度は高まります。
まとめ
今回は、日本企業が海外進出する際のメリットやデメリットについて説明をしました。海外進出するメリットは、販路の拡大やコストを安くできるなど様々です。
ただし、日本とは大きく海外は商習慣が異なるため、戸惑うデメリットもあるでしょう。
事前に海外進出する際の準備をしっかり行い、想定外のことを減らし、海外進出を検討するようにしてください。
監修者
岩﨑 正隆 / 代表取締役
福岡県出身。九州大学大学院卒業後、兼松株式会社にて米国間の輸出入業務や新規事業の立ち上げ、シカゴでの米国事業のマネジメントに従事。帰国後はスタートアップ企業にて海外事業の立ち上げを経験。自らのスキル・経験を基により多くの企業の海外進出を支援するために、2023年に株式会社グロスペリティを設立。