海外進出サポートとは?利用するメリット・デメリットを解説します
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しかし、海外進出コンサルとの違いを正しく理解できている人は多くありません。そこで、本記事ではJETROなどの公的機関のサポートと民間のコンサル会社との違いについて徹底解説します。
それぞれに一長一短の特徴があり、自社に適したサポートを選ぶことが成功のカギとなるでしょう。
海外進出のサポートとは?
海外進出のサポートとは、企業が新たな海外市場に進出する際に必要な支援を提供するサービスを意味します。サービス内容には、主に以下のようなものが含まれます。
- 市場調査:進出予定国の市場動向、競合分析、消費者ニーズの調査
- 情報提供:現地情報の提供
- 法規制対応:現地の法律や規制への対応、会社設立手続きのサポート
- ビジネスパートナー開拓:信頼できる現地パートナーの選定や交渉支援
- 営業・マーケティング支援:現地での営業戦略立案や実施サポート
これらのサービスを提供する主な機関としては「JETRO」などの公的機関や、専門のコンサルティング会社が挙げられます。
両者ともに細かな違いはありますが、海外進出に関する豊富な経験と専門知識を持つ専門家が、企業の海外展開を成功に導いてくれるのが魅力です。
海外進出のノウハウがない中小企業などは、サポートを受けるとよいでしょう。
海外進出サポートと海外進出コンサルの違いは?
では、海外進出サポート会社と海外進出のコンサル会社にはどのような違いがあるのでしょうか。厳密な定義があるわけではありませんが、海外進出サポートは企業の海外展開を支援する幅広いサービスを指す総称です。
それに対して、海外進出コンサルはその中でも専門的なアドバイスや戦略立案を提供することに特化したサービスになります。
また、JETROなどの公的機関と民間の海外進出コンサルの主な違いはこちらの通りです。
公的機関の海外進出サポート | 民間の海外進出コンサル | |
①サービスの範囲 | 基本的な情報提供や初期段階のサポートに重点を置いている | 民間コンサルは戦略立案から実行支援まで、包括的にサポートしている |
②費用 | 無料または低コスト | 高額 |
③専門性 | 幅広い業種・国の進出に対応(広く浅くのイメージ) | 会社によって特定の業種・国に特化して対応(狭く深くのイメージ) |
公的機関は相手にする企業の数も多いため、抽象的な情報提供や支援がメインになります。しかし、民間コンサルであれば企業の個別ニーズに合わせてコンサルティングするため、より精度の高い戦略立案ができるでしょう。
海外進出サポートを利用する3つのメリット
ここからは、具体的に公的機関の海外進出サポートを受けるメリットを3点解説します。
メリット①:費用が安く抑えられる
公的機関が提供する海外進出サポートサービスでは多くの場合、無料または低コストで利用可能です。
例えば、JETROの「新輸出大国コンソーシアム」プログラムでは、専門家による無料相談や、海外展示会への出展支援など、幅広い支援サービスを低コストで受けられます。
これにより、中小企業でも海外進出に必要な情報やノウハウが手軽に入手できます。
また、市場調査や法務相談などの高額になりがちなサービスも安価に利用できることが多く、海外進出の初期投資を抑えたい人におすすめです。
メリット②:豊富なネットワークを活かした情報へアクセスできる
海外進出サポートサービスは、世界中に拠点を持ち、各国の最新のビジネス情報を収集しています。
海外進出において、現地調査・生の情報は必要不可欠です。市場のニーズを正しく把握するためにも、現地の実態をリアルタイムで調査したデータを提供してもらえるのは大きなメリットだと言えるでしょう。
公的機関の場合は幅広い業種・国の情報を網羅的に扱っています。そのため、どんな方でも悩みを解決してもらえるのもメリットのひとつです。
メリット③:専門家によるアドバイスが貰える
海外進出サポートサービスでは、各分野の専門家によるアドバイスを受けられます。
各分野の専門家や機関との橋渡しをしてくれるため、海外進出の基礎段階から各産業分野に関する専門的なアドバイスまで、幅広い支援を受けることが可能です。
また、海外進出の際には各国の法律やビジネスルールなどに注意する必要があります。その点でも、海外進出サポートは安心です。
法務、税務、マーケティングなどさまざまな分野で専門家のサポートが受けられるので、海外進出に伴うリスクを最小限に抑え、効果的な戦略を立てられます。
海外進出サポートを利用する3つのデメリット
次に、海外進出サポートのデメリットを見ていきましょう。
- 特定の業種・国に対しる深い知識はない
- 個々にカスタマイズされたサポートが受けられない
- 戦略立案から実行まで包括的なサポートが受けられない
ひとつずつ解説します。
デメリット①:特定の業種・国に対する深い知識はない
公的機関による海外進出サポートの多くは、幅広い業種や地域をカバーすることを目指しているため、特定の業種や国に関する深い専門知識を持っていない場合があります。
これは一長一短の特徴なので、必ずしもデメリットではありません。
しかし、すでに参入する業界や国が決まっている場合はその業種・国だけに特化した情報を手に入れたいと考えるのが一般的です。
その際には海外進出コンサル会社のサポートを受けるほうが良いでしょう。コンサル会社であれば、各企業が独自の強みを持っているため、自分に合ったコンサル会社を見つけられるとリアルの現地情報が手に入ります。
デメリット②:個々にカスタマイズされたサポートが受けられない
多くの海外進出サポートサービスは、標準化されたプログラムやアプローチを提供しています。これは、海外進出を考える企業の最初のステップのサポートには効果的ですが、深いサポートが受けられないというデメリットでもあるのです。
1社1社にカスタマイズされたサポートを受けたい人は、海外進出に特化したコンサルのほうが良いでしょう。
特に、独自のビジネスモデルを有する企業の場合、一般的なアドバイスだけでは不十分な場合がほとんどです。
海外進出では差別化が成功の鍵を握っています。企業の強みを十分に活かせないといった事態に陥らないためにも、サポートとは別に独自の戦略を立てる必要があります。
デメリット③:戦略立案から実行まで包括的なサポートが受けられない
自社リソースのみでオリジナルの戦略を立案し、実行に移すことは簡単ではありません。
公的機関の海外進出サポートでは、そのようなサービスを包括的に受けられない点には注意しましょう。海外進出サポートの多くは一緒に並走するのではなく、最初のステップをサポートしてくれるイメージです。
プロジェクト単位で外部リソースを活用したい人は「海外進出コンサル会社のサポート」を受けるとよいでしょう。
コンサル会社であれば戦略立案から実行までを一気通貫で担当してもらえるプランも用意されており、海外進出のノウハウが少ない中小企業におすすめのサービスとなっています。
まとめ:海外進出サポートとコンサルを上手に使い分ける
今回は、海外進出サポートについて解説しました。海外進出サポートは公的機関によるものが多く、情報の信頼性やサポートの手厚さは申し分ありません。
しかし、幅広いクライアントを相手にしているため、業種や進出国がすでに決まっていて、より深い情報を手に入れたいというニーズは解決してくれません。
そのような場合は、民間の海外進出に特化したコンサル会社を利用することをおすすめします。
監修者
岩﨑 正隆 / 代表取締役
福岡県出身。九州大学大学院卒業後、兼松株式会社にて米国間の輸出入業務や新規事業の立ち上げ、シカゴでの米国事業のマネジメントに従事。帰国後はスタートアップ企業にて海外事業の立ち上げを経験。自らのスキル・経験を基により多くの企業の海外進出を支援するために、2023年に株式会社グロスペリティを設立。