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【2026年最新】トランプ大統領が署名した「税関強化」大統領令とは?日本企業の対米輸出・通関への影響を徹底解説

 大統領令14411号(EO 14411)が変える米国輸入通関の新ルール 

2026年6月3日、トランプ大統領は「Strengthening Customs Enforcement(税関執行の強化)」と題する大統領令14411号(EO 14411)に署名しました。これは、米国の輸入通関制度を包括的に見直す近年最大規模の通関改革であり、アメリカへ輸出する日本企業にとって見過ごすことのできない重要な変更です。

特に、これまでのブログ記事でも取り上げてきたIOR(Importer of Record:輸入者)の要件が大幅に厳格化されており、アメリカに物理的な拠点を持たない日本の輸出企業への影響は特に大きいと言えます。

本記事では、大統領令14411号の内容を日本語でわかりやすく解説するとともに、日本企業の対米輸出・Amazon US出品・FBA納品への具体的な影響と、今から取るべき対策をまとめてお伝えします。

※ 本記事公開時点(2026年8月)において、CBPによる具体的なBond最低額・Good Standing基準等の詳細規則は未発表です。2026年11月末を目途に順次発表される予定のため、最新の公式発表を定期的にご確認ください。

大統領令14411号とは何か?制定の背景と目的

2026年6月3日、トランプ大統領は「Strengthening Customs Enforcement(税関執行の強化)」と題する大統領令に署名し、国土安全保障省(DHS)および米国税関・国境警備(CBP)に対して、米国への輸入に関するルールの包括的な見直しを命じました。
この大統領令は近年で最も包括的な税関改革の指令の一つとされており、主に
①IOR(輸入者)への新たな義務付け
②外国企業がIORとして機能することへの大幅な制限
③税関違反に対する最低ペナルティの設定
④コンプライアンス違反輸入品に対する差し押さえ・処分権限の強化、という4つの柱から構成されています。

大統領令が制定された背景として、ホワイトハウスは以下の問題を指摘しています。

・輸入品の過小申告(アンダーバリュー)による関税逃れ ・IOR(輸入者)の情報隠蔽や不正な迂回輸入 ・強制労働産品の不正輸入やフェンタニル等の違法薬物の密輸 ・ペーパーカンパニー(シェルカンパニー)を使った制度の悪用

これらの問題に対処するため、CBPはIORの説明責任の強化、外国IORに対する監督の強化、開示要件の拡大、そして税関詐欺に対抗するための追加ツールの付与を求められています。

大統領令の主な内容(5つの柱)

2-1. IOR(輸入者)要件の大幅厳格化

大統領令の中核となるのが、IORに対する要件の大幅な厳格化です。

CBPは180日以内に、すべてのIOR(米国企業・外国企業を問わず)に対して最低限の国内有形資産または輸入担保(Bond)の保有、あるいはその両方を義務付け、最低必要Bond額を引き上げる必要があります。また、IORは所有者情報・実質的支配者(Beneficial Ownership)の開示、事業関連会社の開示、予定輸入量の申告、国内資産の開示など、追加のデータと識別情報をCBPに提出することが義務付けられます。

さらに、CBPはIORの「良好な履行状態(Good Standing)」を定義・管理し、コンプライアンス違反歴のあるIORの登録を削除するとともに、コンプライアンス履歴・執行措置・監査結果に基づくリスクベースの段階的格付けを導入します。

2-2. 海外IORによるインフォーマルエントリー(簡易申告)の禁止

日本企業にとって特に重要な変更点が、外国IORによるインフォーマルエントリーの禁止です。

インフォーマルエントリーとは、低価値の輸入品に適用される簡易な通関申告手続きのことです。これまでは外国企業もインフォーマルエントリーを利用できましたが、大統領令は、外国IORが19 U.S.C. 1498に基づく規則の下でインフォーマルエントリーを申請することを禁止するよう命じています。この禁止が必要な理由として、外国IORは米国IORと同等の状況にはなく、米国の関税・貿易法に精通していない可能性が高く、また違反に対するペナルティが価値に連動するため低価値品では結果的に軽微にとどまるという点が挙げられています。

つまり今後は、日本企業(外国IOR)がアメリカへ輸出する際には、低価値の荷物であってもフォーマルエントリー(正式通関申告)が必要になる可能性があります。

2-3. 開示義務・サプライチェーン情報の提出強化

大統領令は、輸入品に関する開示義務も大幅に強化しています。具体的には以下の情報の提出が求められます。

・サプライチェーンの詳細情報(製造者のモデル番号・品番・素材・グレード・サイズ等) ・外国の税務識別番号およびグローバルビジネス識別番号 ・強制労働関連法(カウンタリング・アメリカズ・アドバーサリーズ法等)へのコンプライアンス証明 ・輸出前に輸出国の税関当局へ提出した書類と同等の情報

これにより、これまで比較的シンプルだった通関書類の要件が増加し、準備に要する時間とコストが増える可能性があります。

2-4. 罰則・ペナルティの引き上げ

大統領令は、税関違反に対する最低ペナルティの水準を設けており、国家安全保障に重大な影響を与える例外的な状況を除き、課せられたペナルティの50%以上の最低ペナルティフロアの設定、最低清算損害額の設定、そして繰り返し違反を行う者への軽減措置の廃止を義務付けています。

また、通関業者に対しても厳しい要件が課されており、デューデリジェンス(適切な調査確認)を怠った場合や、非コンプライアントなクライアントを繰り返し代理した場合には、最大ペナルティが科される可能性があります。

2-5. 非コンプライアント輸入品の迅速な差し押さえ・処分

大統領令は、コンプライアンス違反の輸入品に対する差し押さえ・処分手続きの迅速化も求めています。任意放棄(Voluntary Abandonment)への規制緩和、高リスク輸送へのBond増額義務、第三者による処分の授権などが含まれ、違反品はより迅速に処分される体制が整備されます。

 実施タイムライン:45日・90日・180日のロードマップ

大統領令は、各措置の実施期限を段階的に定めています。2026年6月3日署名を起点とした主な期限は以下のとおりです。

45日以内(2026年7月下旬まで) ・税関執行強化のための立法勧告をホワイトハウスへ提出

90日以内(2026年9月上旬まで) ・輸出国の税関提出書類と同等情報の提出義務化 ・ペナルティ軽減基準の改訂(最低ペナルティフロアの設定) ・非コンプライアント輸入品の迅速差し押さえ・処分体制の整備 ・透明性強化のための年次執行報告書の発行要件の整備

180日以内(2026年11月下旬まで) ・IOR資格要件の改訂(Bond・有形資産・開示義務の新基準) ・外国IORのインフォーマルエントリー禁止の施行 ・外国IORによるフォーマルエントリーへの追加要件の施行(CTPAT認証またはCTPAT認定通関業者の使用義務) ・IORの「Good Standing(良好な履行状態)」制度の整備 ・IOR登録データベースの更新と非アクティブIORの削除

CBPの改訂規則・ガイダンス・政策の期限は2026年11月末ごろとなっており、それまでの間にBondフロアの数値案・新たなIOR登録要件・より厳格な審査手続きが順次発表される見込みです。

日本企業への具体的な影響

4-1. 外国IORとしての日本企業の立場

大統領令における「外国IOR(Foreign IOR)」とは、米国市民権・永住権を持たない個人、または米国法に基づき設立・所在していない法人を指します。日本に本社を置き、アメリカに実質的な事業拠点・有形資産・米国市民または永住者による支配を持たない企業は、原則として「外国IOR」に該当します。

大統領令14411号は、アメリカ国内に意味ある資産・事業・人員を持たずに米国市場へ販売する非居住輸入者が、どのように米国市場へアクセスするかを根本的に再構築することを迫る可能性があります。DDP(仕向け地持ち込み渡し・関税込み)・消費者直送・マーケットプレイス・関連会社構造を利用している企業は、今こそIORモデルを見直すことで、利益率の保護・通関タイムラインの確保・プレッシャー下での構造転換の回避が可能になります。

4-2. Amazon FBA・越境ECへの影響

これまでのブログ記事でご紹介したとおり、Amazon FBAへの納品にはDDP条件でのIOR手配が必要です。大統領令の施行により、外国IORとして機能する日本企業には以下のような追加負担が生じる可能性があります。

・Bond(輸入担保)の最低額引き上げによるコスト増 ・所有者情報・実質的支配者の開示義務への対応 ・インフォーマルエントリーが使えなくなることによる通関コストの増加 ・フォーマルエントリーへの移行に伴う手続きの複雑化 ・CTPAT認証、またはCTAT認定通関業者の利用義務化

特に少量のテスト輸出や小口のFBM(フルフィルメント by マーチャント)での直送を行っている企業にとっては、インフォーマルエントリーの禁止が直接的な影響をもたらします。

4-3. フォワーダー・通関業者への影響

大統領令は通関業者(Customs Broker)に対しても責任を拡大しており、デューデリジェンス不足や非コンプライアントクライアントの繰り返し代理に対してより重いペナルティが科される可能性があります。これにより、通関業者側の審査が厳格化し、日本企業が米国の通関業者・フォワーダーと契約する際に求められる情報・書類が増える可能性があります。

日本企業が今すぐ取るべき対策

対策①:現在のIOR体制を早急に見直す

自社が「外国IOR」に該当するかどうかを確認し、現在の輸入方法(インフォーマルエントリー・フォーマルエントリーのいずれか)を把握しましょう。外国IORとしてインフォーマルエントリーを利用している場合、180日以内に対応が必要になります。

対策②:Bond(輸入担保)の見直しと増額準備をする

現在のBond金額が新たに設定される最低額を満たしているかを確認し、不足する場合は増額手続きを早めに行いましょう。Bond金額の変更には保険会社や通関業者との調整が必要です。

対策③:所有者情報・実質的支配者情報の整理を行う

新たな開示義務に対応するため、自社の所有構造・実質的支配者(Ultimate Beneficial Owner)の情報を整理し、英語で正確に文書化できる状態を整えておきましょう。

対策④:CTPAT認定通関業者の利用を検討する

外国IORがフォーマルエントリーを行う場合、CTPAT(テロリズム対策のための税関貿易パートナーシップ)に認定された通関業者の利用が義務付けられる可能性があります。現在の通関業者がCTAT認定を持っているかを確認し、必要に応じて切り替えを検討してください。

対策⑤:米国内の事業拠点・有形資産の確保を検討する

最も根本的な対応策として、米国内に事業拠点・法人・有形資産を設けることで「米国IOR」の要件を満たすことができれば、外国IORとしての制限を受けずに済みます。米国法人設立・倉庫の確保・現地パートナーの活用などを早期に検討することをお勧めします。

まとめ

2026年6月3日に署名された大統領令14411号「Strengthening Customs Enforcement」は、米国の輸入通関制度を大きく変える包括的な改革です。日本企業にとって特に重要なポイントを改めて整理します。

・外国IORによるインフォーマルエントリーが禁止される予定(180日以内に施行)
・すべてのIORに対してBond・有形資産・詳細な開示情報の提出が義務付けられる
・フォーマルエントリーには、CTPAT認定通関業者の利用が外国IORに義務化される予定 ・違反に対する最低ペナルティが設定され、繰り返し違反者への軽減措置は廃止される
・CBPはIOR登録を更新し、非アクティブIORや違反歴のあるIORを削除する

今後、CBPによる詳細な規則・ガイダンスが順次発表される予定です。規制の詳細が固まる前に自社のIOR体制を点検し、必要な対応を早め早めに進めることが、通関の遅延やペナルティリスクを回避するための最善策です。

「自社の輸出体制が新しい要件に対応できているか確認したい」「米国でのIOR手配や法人設立も含めて相談したい」「通関・物流の全体設計を見直したい」とお考えの方は、ぜひグロスペリティへお気軽にご相談ください。

グロスペリティでは、IOR手配・通関サポート・Amazon US出品支援・米国現地法人設立に向けたコンサルティングまで、対米輸出・進出に関わるあらゆるフェーズを一気通貫でご支援していますおります。

参考: ・The White House – Executive Order 14411 “Strengthening Customs Enforcement” (June 3, 2026)  https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2026/06/strengthening-customs-enforcement/ ・U.S. Customs and Border Protection – Strengthening Customs Enforcement  https://www.cbp.gov/trade/strengthening-customs-enforcement

 

EDITOR

監修者

岩﨑 正隆

岩﨑 正隆 / 代表取締役

福岡県出身。九州大学大学院卒業後、兼松株式会社にて米国間の輸出入業務や新規事業の立ち上げ、シカゴでの米国事業のマネジメントに従事。帰国後はスタートアップ企業にて海外事業の立ち上げを経験。自らのスキル・経験を基により多くの企業の海外進出を支援するために、2023年に株式会社グロスペリティを設立。

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