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【2026年最新】米国関税の全容と日本企業が取るべき対策

2025年以降、米国トランプ政権が打ち出した関税政策は、日本企業のビジネス環境を大きく揺るがしています。「自社の輸出品にいくらの関税がかかるのか」「アメリカ進出の計画はどうすればいいのか」と不安を抱える経営者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、関税政策のこれまでの経緯・現状・品目別の税率、そして日本企業が今すぐ取れる具体的な対策までを体系的に解説します。アメリカへの輸出・進出を検討しているすべての経営者様に、ぜひ最後までお読みいただきたい内容です。

1. トランプ関税とは何か?「相互関税」発動の背景

2025年1月に発足した第2次トランプ政権は、「米国第一の通商政策(America First Trade Policy)」を掲げ、貿易赤字の是正を目的とした大規模な関税措置を次々と打ち出しました。

その中心にあるのが「相互関税(Reciprocal Tariff)」の概念です。トランプ大統領は「各国が米国製品に課している関税・非関税障壁の半分を、米国も対等に課す」という考えのもと、2025年4月2日に世界各国向けの関税率を一挙に公表しました。日本に対しては当初24%という高水準が設定され、日本の輸出産業に大きな衝撃が走りました。

ここで重要なのは、相互関税が従来からある最恵国待遇(MFN)税率への「上乗せ」であるという点です。つまり、すでに関税がかかっていた品目はさらに負担が重くなる仕組みであり、交渉によって相互関税率が下がったとしても、もとのMFN税率は残り続けます。自社商品の実際の関税負担を把握する際には、この「合算」の考え方を念頭に置いておくことが大切です。

2. 関税政策のこれまでの流れ

トランプ関税は短期間に目まぐるしく変化してきました。日本企業が現状を正確に把握するために、主要な経緯を整理します。

2025年4月5日 ― ベースライン関税10%の開始 国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき、ほぼ全品目に一律10%の追加関税が導入されました。

2025年4月9日 ― 国別の上乗せ相互関税を発動 日本24%、EU20%、中国34%など、国別の上乗せ税率が発動。同日、日本を含む一部の国・地域に対して90日間の猶予(一時停止)が発表されました。

2025年7月22〜25日 ― 日米関税協議が合意 トランプ大統領がSNSで「日本は米国に相互関税15%を支払う」と発表。日本側も最大5,500億ドル(約80兆円)の対米投資を表明し、当初予告されていた25%から10%の引き下げが実現しました。

2025年8月7日 ― 日本向け関税率が15%に正式移行 大統領令に基づき、日本からの輸入品に対するベースライン関税が15%となりました。

2026年2月20日 ― 米連邦最高裁がIEEPAに基づく相互関税を違法・無効と判決 その後、米国政府は相互関税を終了する大統領令を発出し、同月24日に相互関税の徴収が停止されました。

2026年2月24日以降 ― 通商法第122条に基づく10%の追加関税を開始 一部農産物・分野別関税品目を除く、全世界からの輸入品を対象とした10%の追加関税が開始されました(150日間の時限措置)。

2026年4月〜5月(現在) ― IEEPA関税の還付制度が運用開始 2026年4月20日から米国税関(CBP)による還付手続きがスタートし、すでに輸出実績のある日本企業への影響を一部緩和する制度が動き始めています。

3. 2026年5月時点の日本への適用関税率

3-1. 品目別の関税率まとめ

最高裁判決後の状況を踏まえた2026年5月時点での主な関税状況は以下のとおりです(MFN税率への追加分)。

  • 一般品目(全品目ベースライン):15%  通商法第122条に基づく時限措置(2026年2月24日起算・150日間)。当初は10%で発動されましたが、トランプ大統領の意向等により、現在は法定上限である「15%」に引き上げられて適用されています(2026年2月26日通関分より15%へ変更)。

  • 自動車・完成車:15%  もともとの232条関税では25%であったが、上記の122条に基づく一律上乗せ(15%)との兼ね合いで、現時点では15%で落ち着いている。

  • 自動車部品:15%  同上。

    ※自動車・自動車部品に関する注意点:
    もともとの232条関税25%に加え、上記の122条に基づく一律上乗せ(15%)との兼ね合いが複雑化しています。日本政府(経済産業相ら)が米国側に対し、引き下げや一律上乗せの回避(日米合意の尊重)を強く要請・交渉中となります。

  • 鉄鋼・アルミニウム:50%  232条に基づき鉄鋼25%・アルミニウム25%が課されている。

  • 半導体(一部):対象外または調整中  品目によって除外措置あり。最新情報の確認が必要。

  • 食品・農産物(一部):MFN税率のみ  122条措置の除外対象(牛肉・トマト・オレンジ等の一部農産物)。

MFN税率との合算についても注意が必要です。日米合意における「15%」は相互関税率ですが、通常のMFN税率が15%を超える品目については相互関税が0%となり、MFN税率のみが適用される計算方法が採用されています(EUと同方式)。輸出品ごとに実際の合計税率を確認することが不可欠です。

3-2. 連邦最高裁判決と代替措置

2026年2月の連邦最高裁判決は、IEEPAに基づくトランプ政権の相互関税を違法・無効としたものです。これを受けて相互関税は停止されましたが、政権はすぐに通商法第122条という別の法的根拠に基づく15%の追加関税措置を打ち出しました。これは150日間の時限措置とされており、今後の政策動向を引き続き注視する必要があります。

また、2026年4月からはIEEPA関税として過剰に徴収された分の還付制度(Drawback)の運用も始まっています。すでに対米輸出実績がある日本企業にとっては、還付申請の機会となりますので、早めに確認されることをお勧めします。

4. 業種・品目別の影響

自動車・部品メーカー

最も打撃が大きいのが自動車産業です。232条に基づく15%という高率関税が継続しており、大手自動車メーカーは業績見通しの大幅な下方修正を余儀なくされています。完成車だけでなく、部品メーカーへのコスト転嫁も進んでおり、サプライチェーン全体での対応が急務となっています。

食品・飲料メーカー

農産物の一部は122条措置の除外対象ですが、加工食品・飲料はベースライン15%の対象となるケースが多く、注意が必要です。一方で、日本食・日本製品へのアメリカ国内需要は依然として高く、価格設定の工夫と現地パートナーとの連携によって競争力を維持できる品目も多く残っています。

機械・精密機器・電子部品

半導体は品目によって対応が分かれており、引き続き不確実性があります。精密機械・産業用機器はベースライン関税の影響を受けるものの、高い技術力と製品の代替困難性から、コスト増をある程度転嫁しやすいセクターとも言えます。米国内での製造拠点確保に向けた動きも加速しています。

消費財・ライフスタイル商品

伝統工芸品やアウトドア用品、健康・美容商品はアメリカでの需要が根強いカテゴリーです。関税の上乗せで価格競争力は下がるものの、「Made in Japan」ブランドの付加価値でカバーできる余地があります。特に直販(D2C)やAmazon等のECを活用したスモールスタート戦略が有効です。

5. 日本企業が取るべき4つの対策

対策①:自社品目の実効税率を正確に把握する

まずは輸出品のHSコードを特定し、MFN税率+追加関税の合計実効税率を算出することが出発点です。JETROの「米国関税措置への対応」ページや経産省の「米国関税対策ワンストップポータル」も有用なリソースです。還付(Drawback)の対象となる可能性がある場合は、通関士や貿易専門家への相談も早めに検討しましょう。

対策②:価格戦略・サプライチェーンを見直す

関税コストを誰がどこで負担するかを取引先と再交渉することが重要です。また、米国内での現地調達・加工を増やすことで課税対象となる輸入品の割合を減らす「現地化(ローカライゼーション)」戦略も選択肢の一つです。米国内に倉庫・物流拠点を設ける企業も増えています。

対策③:第三国・迂回ルートを適法な範囲で検討する

メキシコやカナダなど、USMCAを通じた製造・輸出スキームを活用する方法があります。ただし、原産地規則に適合しない偽装は厳しく規制されます。適法な形で生産拠点・ルートを多角化するための法務・税務専門家の助言が不可欠です。

対策④:米国現地への直接投資・拠点設立を検討する

日米合意の文脈でも、日本企業による対米投資は歓迎されています。米国に製造・販売拠点を置くことで輸入関税の対象外となるほか、現地での顧客信頼も高まります。スモールスタートで現地代理店・パートナーを活用しながら市場テストを行い、段階的に拠点化するアプローチが現実的です。

なお、まだアメリカに輸出していない企業にとっても、この時期に情報収集と小さな一歩を踏み出すことは重要です。少量テスト輸出やEC活用でアメリカ市場の反応を確かめることで、関税コストを抑えながらニーズを検証することができます。

6. まとめ

トランプ関税は目まぐるしく変化してきましたが、2026年5月時点では日本向けに一般品目15%・自動車15%・鉄鋼アルミ50%という追加関税が継続しております。(実際の負担はこれに品目ごとのMFN税率が加算されます) 一方で、日米合意による一定の落ち着き、還付制度の創設、そして米国内での日本製品・日本食品への需要の高さを踏まえると、アメリカ市場の魅力が失われたわけではありません。正確な情報収集・コスト試算・進出戦略の再設計を行うことで、この局面を乗り越えるだけでなくチャンスに変えることも十分可能です。

アメリカ進出・輸出強化を検討されている方は、ぜひグロスペリティへお気軽にご相談ください。市場調査から現地パートナー開拓、輸出スキームの構築まで、伴走型でご支援いたします。

EDITOR

監修者

岩﨑 正隆

岩﨑 正隆 / 代表取締役

福岡県出身。九州大学大学院卒業後、兼松株式会社にて米国間の輸出入業務や新規事業の立ち上げ、シカゴでの米国事業のマネジメントに従事。帰国後はスタートアップ企業にて海外事業の立ち上げを経験。自らのスキル・経験を基により多くの企業の海外進出を支援するために、2023年に株式会社グロスペリティを設立。

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