アメリカ越境ECの販路拡大|現地連携と集客の「両輪」で成果を出す

INDEX ー
ECは、店舗を構えなくても海外の消費者に商品を届けられる便利な仕組みです。しかし、サイトを公開しただけで現地の消費者に見つけてもらえるほど、アメリカ市場は甘くありません。広大な市場には無数の商品があふれており、日本での実績や知名度がない状態では、比較検討の土俵に上がることすら難しいのが現実です。
本記事では、アメリカ向け越境ECで販路を広げるために欠かせない「連携」という視点に焦点を当て、中小企業が押さえておくべきポイントと、成果につなげるための進め方を、株式会社グロスペリティの伴走型支援の視点から解説いたします。
アメリカ向け越境ECとは|自社ECだけが選択肢ではない
越境ECとは、インターネットを通じて国境を越えて商品を販売する取引のことです。アメリカ向けの場合、大きく分けて次のような形態があります。
- 自社ECサイトから、アメリカの消費者に直接販売する
- Amazon USなどのECモールに出店する
- 現地の小売店やセレクトショップのオンラインストアに商品を掲載してもらう
多くの企業は、まず自社ECサイトでの直販から始めます。ブランドの世界観を自由に表現でき、顧客データも自社に蓄積できる点は大きな魅力です。一方で、ブランドの認知がゼロの状態では集客コストがかさみ、思うように売上が立たないケースも目立ちます。
商材によってはAmazon USの方が相性が良いことも
アメリカのEC市場を語るうえで欠かせないのが、Amazon USの存在です。アメリカのEC売上のおよそ4割をAmazonが占めるともいわれ、2位以下を大きく引き離しています。多くのアメリカの消費者にとって、「ネットで何かを買う」ことは「Amazonで探す」こととほぼ同じ意味を持っているのです。
日用品やキッチン用品、食品など、消費者が商品名やカテゴリーで検索して比較購入する商材は、自社ECよりもAmazon USの方が売上につながりやすい場合があります。反対に、ストーリーや世界観が価値を左右する工芸品やブランド品は、自社ECや現地ショップとの組み合わせが向いていることもあります。大切なのは、自社の商材がどのチャネルと相性が良いのかを見極め、必要に応じて複数のチャネルを組み合わせることです。
越境ECの販路拡大を左右する4つの「連携」
どのチャネルを選ぶにしても、自社だけで完結させようとせず、現地のさまざまな接点と「連携」しながら販路を設計することが成果への近道です。
現地パートナーとの連携
現地ですでに顧客基盤を持つパートナーとの連携は、大きな武器になります。現地で評価されている店舗が扱っているという事実そのものが、無名の日本ブランドにとっては強力な信用の裏付けとなるからです。
店頭とECの連携
アメリカの消費者は、オンラインとオフラインを行き来しながら購買を判断します。素材感や色味が価値を左右する商品は、写真だけでは魅力が伝わりきらないものです。実店舗で手に取ってもらい、気に入った方がECで買い足す。こうした相乗効果を設計することで、販売機会は大きく広がります。
物流・通関との連携
越境ECでは、商品をどのように現地へ届けるかが、価格や配送スピードに直結します。日本から一件ずつ発送するのか、現地に在庫を置くのかによって、送料や関税の負担は大きく変わります。販売開始前に、輸出入や現地への搬入をスムーズに行える体制を整えておくことが欠かせません。
販売後の営業活動との連携
ECで得られる販売データは、それ自体が貴重な「市場調査」の結果です。どの商品が売れたのか、どの価格帯が受け入れられたのかという情報をもとに現地のバイヤーや小売店へ営業をかければ、根拠のある提案が可能になります。
「見つけてもらう」ための集客施策
販路を整えても、消費者に見つけてもらえなければ売上にはつながりません。アメリカ向け越境ECでは、次のような集客施策を組み合わせて取り組む必要があります。
SEO対策
英語での検索キーワードを調査し、商品ページやブログ記事に反映させる施策です。日本語の説明をそのまま翻訳しただけでは、現地の消費者が実際に使う言葉と合わず、検索で上位に表示されません。Amazon USに出店する場合も、モール内検索に向けたキーワード設計が売上を大きく左右します。
広告運用
GoogleやMeta(Facebook・Instagram)、Amazon内の広告などを活用し、購買意欲の高い層にピンポイントで届ける施策です。認知がゼロの立ち上げ期には、広告で最初の接点をつくることが特に重要になります。
SNS運用
アメリカでは、InstagramやTikTokなどのSNSが商品を知るきっかけとして大きな役割を果たしています。商品の使い方や作り手の想いを英語で継続的に発信することで、ブランドのファンを育てていくことができます。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用
UGCとは、購入者が投稿したレビューや写真、SNSでの紹介など、消費者自身が生み出すコンテンツのことです。アメリカの消費者は企業の宣伝よりも他の購入者の声を信頼する傾向が強く、レビューの数と質が購買の決め手になることも珍しくありません。購入後のレビュー依頼や、インフルエンサーとの協業などを通じて、UGCが生まれる仕組みをつくることが大切です。
アメリカ越境EC特有の注意点とよくあるつまずき
送料・関税・返品対応が「見えない壁」になる
アメリカの消費者は、購入前に総額や配送日数、返品条件を確認したうえで判断する傾向があります。2025年8月には、少額貨物の関税を免除してきた「デミニミス」制度が停止され、日本からの小口発送にも関税がかかるようになりました。受け取り時に想定外の関税を請求されると、顧客の不満や受け取り拒否につながりかねません。関税をあらかじめ価格に含めて届ける方法や、現地に在庫を置いて国内配送に切り替える方法など、商材と販売規模に合わせた配送体制を販売前に検討しておくことが大切です。
商材によっては事前の規制対応が必要になる
食品や化粧品、口に触れる食器などは、アメリカの規制に沿った手続きや表示が求められる場合があります。例えば食品であれば、FDA(アメリカ食品医薬品局)関連の手続きが必要です。対応を後回しにすると、通関で商品が止まったり、販売開始が大幅に遅れたりするリスクがあります。
自社に合った販路拡大の進め方|まずは「小さく試す」
展示会への出展や代理店探し、現地法人の設立などは、いずれも時間と費用の負担が大きく、「本当に売れるのか分からない」段階で踏み切るにはリスクが伴います。そこでおすすめしたいのが、現地の店頭とECを活用した「テスト販売」から始める方法です。
- 仮説を立てる:どの商品を、どの価格帯で、どのチャネルで、どのような顧客に届けたいのかを整理する
- 実際の売り場で検証する:現地の店頭とECで一定期間販売し、消費者のリアルな反応を集める
- 本格展開に活かす:得られたデータをもとに、商品構成や価格、販売チャネル、集客施策を絞り込む
実際の小売の売り場で継続的に販売することで、価格への反応や人気商品の傾向といった、本格展開に向けた確かな判断材料が得られます。
販路づくりから集客まで支えるグロスペリティの伴走型サポート
現地パートナーとの連携によるテスト販売の仕組み
株式会社グロスペリティでは、アメリカ各地の現地パートナーと連携し、現地ショップでの店頭展示とオンラインショップへの掲載を組み合わせたテスト販売の仕組みをご用意しています。商材の特性やターゲット層に合わせて、最適な売り場をご提案いたします。対象は伝統工芸品に限らず、食品やキッチン用品、生活雑貨など幅広い日本製品に対応しており、食品の場合はFDA関連手続きもあわせてご支援いたします。実際の支援の流れについては、こちらの事例記事もあわせてご覧ください。
▶ 伝統の器をLAの店頭とECへ ― アメリカ・テスト販売支援
SEO・広告・SNS・UGCまで、現地目線の集客を支援
販路を整えた後の集客施策もお任せください。英語でのSEO対策や広告運用、SNSアカウントの運用、レビューやインフルエンサー施策などのUGC活用まで、アメリカの消費者に「見つけてもらい、選んでもらう」ための施策を、現地の感覚を踏まえて実行いたします。自社EC、Amazon US、現地ショップなど、商材に合ったチャネル選びからご相談いただけるほか、Amazon USへの出品や商品ページの作成、モール内広告の運用といったAmazonの運用代行にも対応しております。
海外事業部の一員として、テスト販売の先まで一貫対応
私たちは単なる代行業者ではなく、貴社の海外事業部の一員として動きます。英語での商品紹介文の作成、輸出や現地への搬入の調整、売り場からのフィードバック収集はもちろん、テスト販売後の現地営業代行、ディストリビューターや小売店の開拓、自社ECサイトやAmazon USの運用代行まで、ワンストップでサポートいたします。
まとめ:販路と集客を「両輪」に、アメリカ市場を走り出す
アメリカ向け越境ECは、サイトを公開するだけで成果が出る販路ではありません。自社EC、Amazon US、現地ショップの中から商材に合ったチャネルを選び、現地パートナーや物流と連携させること。そして、SEOや広告、SNS、UGCを通じて消費者に見つけてもらうこと。いわば、販路づくりと集客は、販路拡大という車を動かす「両輪」です。片方だけでは前に進みにくくても、両方がかみ合えば、現地の消費者のもとへ着実に走り出すことができます。
「越境ECを始めたが、思うように売上が伸びない」
「自社ECとAmazon US、どちらから始めるべきか迷っている」
「いきなり本格進出する前に、アメリカで売れるか試してみたい」
そのようなお悩みをお持ちの経営者様は、ぜひ一度私たちにご相談ください。テスト販売から集客、本格的な販路づくりまで、貴社のアメリカ市場での販路拡大を全力で後押しいたします。
監修者
岩﨑 正隆 / 代表取締役
福岡県出身。九州大学大学院卒業後、兼松株式会社にて米国間の輸出入業務や新規事業の立ち上げ、シカゴでの米国事業のマネジメントに従事。帰国後はスタートアップ企業にて海外事業の立ち上げを経験。自らのスキル・経験を基により多くの企業の海外進出を支援するために、2023年に株式会社グロスペリティを設立。

