【初心者向け】HSコードとは?アメリカ輸出に必要な基礎知識と調べ方を徹底解説

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そんな疑問を持つ経営者・担当者の方は少なくありません。HSコードは、国際貿易において避けて通れない基本中の基本でありながら、初めて輸出に取り組む方には馴染みの薄い概念です。
本記事では、HSコードとは何かという基礎から、アメリカ向け輸出における具体的な調べ方・確認方法、そしてよくある間違いと注意点まで、実務に直結する内容をわかりやすく解説します。特に昨今の米国関税政策の変化を踏まえると、HSコードを正確に把握することは「実際の関税負担を知る」ための第一歩でもあります。ぜひ最後までご覧ください。
1. HSコードとは何か?基本の仕組みをわかりやすく解説
HSコードの「HS」は「Harmonized Commodity Description and Coding System(商品の名称及び分類についての統一システム)」の略称です。ベルギーのブリュッセルに本部を置くWCO(世界税関機構)が管理・運営しており、加盟国・地域は180を超えます。世界の貿易量の98%以上がこのHSコードで分類されており、国際貿易における「共通言語」として機能しています。
「関税番号」「税番」「統計品目番号」などとも呼ばれることがあり、すべて同じものを指します。HSコードはおよそ5年ごとに改訂されており、現行の最新版は2022年1月に発効した「HS2022」です。
1-1. HSコードの構造:桁数と意味
HSコードは「部」「類」「項」「号」の4つの階層で商品を分類する仕組みです。
・部(Section):最上位の大分類。全21部(例:第4部=調製食料品、飲料など) ・類(Chapter)/上2桁:部の中の分類。全97類(例:第22類=飲料、アルコール、食酢) ・項(Heading)/上4桁:類の中の分類(例:22.03=ビール) ・号(Subheading)/上6桁:最も細かい分類で、世界共通(例:2203.00=ビール(モルトから醸造))
HSコードの上6桁は世界どの国でも共通であり、「この6桁が同じなら同じ商品」という認識で問題ありません。各国はこの6桁をベースに、自国の統計・通関管理のために独自の桁数を追加しています。
1-2. 日本・米国それぞれの桁数の違い
日本では6桁の世界共通コードに3桁の「統計細分」を加えた9桁のコードを使用します。輸出申告には「輸出統計品目表」の9桁コードを、輸入申告には「実行関税率表(輸入統計品目表)」の9桁コードを使います。
アメリカでは「HTSUS(Harmonized Tariff Schedule of the United States)」と呼ばれる独自の関税分類表が使われており、上6桁は世界共通のHSコードと一致しますが、7〜8桁目はアメリカ独自の細分類、9〜10桁目は管理・統計用の番号となっており、全体で10桁です。
重要なポイントとして、日本の9桁コードとアメリカの10桁コードは完全には一致しません。日本での輸出申告コードをそのままアメリカの関税率確認に流用することはできないため、別々に確認する必要があります。
2. なぜHSコードが重要なのか?アメリカ輸出との関係
HSコードが重要な理由は大きく3つあります。
第一に、関税率がHSコードによって決まるからです。アメリカに輸出する際の関税率は商品ごとに設定されており、同じ「金属製品」に見えても、材質・用途・加工度によって分類コードが異なり、適用される税率も変わります。特に昨今のトランプ政権下では、鉄鋼・アルミニウム製品や自動車部品に高率の追加関税(232条関税)が課されており、HSコードによって「追加関税の対象か否か」が決まる場面も増えています。
第二に、通関書類への記載が求められるからです。インボイス(商業送り状)、パッキングリスト、輸出申告書などにはHSコードの記載が必要です。コードが誤っていると通関が滞ったり、誤った税率が適用されたりするリスクがあります。
第三に、関税負担の事前試算に欠かせないからです。アメリカ向けの価格設定や輸出スキームを検討する際、HSコードを正確に特定することが実効関税率の計算の出発点になります。現在の対日追加関税はMFN税率への上乗せで課される仕組みのため、HSコードに基づくMFN税率を把握していないと、実際の負担を正確に試算できません。
3. 日本からアメリカに輸出するときの実効関税の計算方法
アメリカへの輸出コストを正確に把握するには、以下の3つの要素を組み合わせて計算します。
(1)MFN税率(通常関税):HTSUSの「General」列に記載されている通常税率です。 (2)追加関税:現在適用中の通商法第122条に基づく10%(一般品目)や、232条に基づく25%(鉄鋼・アルミ・自動車部品)などが上乗せされます。 (3)合計実効税率:(1)+(2)が実際に支払う関税率の目安です。
計算式としては「課税対象金額(FOBまたはCIF)× 合計税率 = 輸入関税額」が基本です。なお、FOBとは「船積み港までの商品代金+輸送費」、CIFとは「FOBに海上保険料と国際輸送費を加えた金額」のことです。 アメリカは日本と異なりFOB価格を基準とするのが一般的ですが、品目によって異なる場合もあります。
たとえば、MFN税率が5%の一般消費財を日本からアメリカへ輸出する場合、現行の追加関税10%を加えると合計15%の関税負担となります。価格設定や利益計算の際にはこの合計税率を必ず考慮してください。
4. HSコードの調べ方・確認方法(ステップ別)
4-1. 日本側のHSコードを調べる(輸出申告用)
輸出申告に使う日本の9桁HSコードは、以下の手順で調べます。
ステップ①:税関の「輸出統計品目表」を使う 財務省・税関のウェブサイト(customs.go.jp)で「輸出統計品目表」が公開されています。類(上2桁)から順に絞り込んでいく方法が基本です。慣れないうちは商品名で検索できるキーワード機能も活用しましょう。
ステップ②:JETROの「輸出有望案件発掘・支援事業」等を参考にする JETROのウェブサイト(jetro.go.jp)では、品目別の輸出規制確認やHSコード関連情報が整備されています。特定の商品が輸出規制の対象かどうかも合わせて確認できるため、実務上は必ず参照することをお勧めします。
ステップ③:税関の相談窓口に問い合わせる コードの特定に迷った場合は、各地の税関相談官室に直接問い合わせることができます。判断が難しい商品については「事前教示制度」(税関が事前にHSコードを確認・回答してくれる制度)を活用することも有効です。
4-2. アメリカ側のHTSコードを調べる(関税率確認用)
アメリカでの関税率を確認するには、日本側のHSコードとは別に、アメリカのHTSUSコードを調べる必要があります。
ステップ①:USITCの公式データベース「HTS Online」にアクセスする 米国国際貿易委員会(USITC)が運営する公式サイト「hts.usitc.gov」が最も信頼性の高い情報源です。商品名を英語で入力して候補を絞り込み、品目の詳細説明と自社製品を照合します。2026年2月に公開された最新版「2026 HTS Revision 4」が現時点での最新版です。
検索時の注意点として、製品の固有名称(ブランド名や商品名)ではなく一般的な名称を英語で入力することが重要です。例えば「包丁」の場合、「孫六」ではなく「kitchen knife」で検索します。
ステップ②:「General」列でMFN税率を確認する 検索結果のHTSコードをクリックすると詳細画面が表示されます。「General」列が通常のMFN税率(NTR税率)、「Special」列がFTAや特恵制度による優遇税率です。日本はアメリカとのFTAがないため、基本的に「General」列の税率が適用されます。
ステップ③:追加関税の対象かどうかを確認する MFN税率に加え、232条関税(鉄鋼・アルミ・自動車関連)や現行の通商法第122条に基づく追加関税が適用されるかどうかを確認します。経産省の「米国関税対策ワンストップポータル」やJETROの「米国関税措置への対応」ページが、追加関税の対象品目を整理した資料を公開していますので、合わせて参照することをお勧めします。
5. よくある間違いと注意点
間違い①:日本の9桁コードをそのままアメリカの関税率確認に使う
日本の輸出統計品目番号(9桁)とアメリカのHTSUSコード(10桁)は、上6桁は共通ですが、下位桁が異なります。日本のコードをそのままアメリカの税率表に当てはめると、誤った税率を確認してしまう可能性があります。日本側とアメリカ側のコードは必ず別々に確認するようにしましょう。
間違い②:MFN税率だけを見て「関税はこれだけ」と判断する
現在のアメリカ向け輸出では、MFN税率に加えて追加関税が上乗せされます。HTSUSで確認できるのはMFN税率のみのため、追加関税の有無・税率を別途確認しないと、実際の関税負担を大幅に過小評価するリスクがあります。
間違い③:一度特定したHSコードを永続的に使い続ける
HSコードはおよそ5年ごとに改訂されます。また、商品の仕様変更や製造方法の変化によっても、適切なコードが変わることがあります。重要な輸出品目については定期的にコードの見直しを行い、変更があった場合は速やかに対応することが重要です。
間違い④:分類が難しい商品を自己判断で決めてしまう
新しいカテゴリの商品(スマートウォッチ、機能性食品、複合材料製品など)は、複数の分類に該当する可能性があり、コードの特定が難しい場合があります。誤った分類は脱税と見なされるリスクもあるため、迷った場合は税関の事前教示制度や通関士・専門家への相談を積極的に活用してください。
6. まとめ
HSコードは、アメリカへの輸出を行う際に関税率の確認・通関書類の作成・貿易コストの試算など、あらゆる局面で必要となる基礎情報です。特に現在のようにトランプ政権下での追加関税が頻繁に変化する環境では、HSコードに基づいてMFN税率と追加関税を正確に把握することが、収益を守るための最重要事項の一つとなっています。
調べ方のポイントをおさらいすると次のとおりです。
・輸出申告用の日本のHSコード(9桁)は、財務省・税関の「輸出統計品目表」で確認する ・アメリカの関税率確認には、USITCの「HTS Online(hts.usitc.gov)」でHTSUSコード(10桁)を別途調べる ・MFN税率だけでなく、追加関税の有無も必ず合わせて確認する ・迷った場合は税関の事前教示制度や専門家への相談を活用する
「自社商品のHSコードや実際の関税率を確認したい」「アメリカ輸出に向けたコスト試算をしたい」とお考えの方は、ぜひグロスペリティへお気軽にご相談ください。市場調査から現地パートナー開拓、輸出スキームの構築まで、伴走型でご支援いたします。
監修者
岩﨑 正隆 / 代表取締役
福岡県出身。九州大学大学院卒業後、兼松株式会社にて米国間の輸出入業務や新規事業の立ち上げ、シカゴでの米国事業のマネジメントに従事。帰国後はスタートアップ企業にて海外事業の立ち上げを経験。自らのスキル・経験を基により多くの企業の海外進出を支援するために、2023年に株式会社グロスペリティを設立。

